猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話かいてた

青空の下。鯉のぼりがたなびいていた。風もないのに。……それで亡霊なのだと分かった。凪いだ空に優雅な泳ぎを見上げるのは楽しかった。けれど少し疑問。なぜ鯉はポールの先にとどまるのか。もっと遠く泳ぎ回ってくれてもいいのに。たとえば公団住宅の給水塔の上とか。
 
文学賞発表の時期になるたび、彼は憂鬱になった。誰かが賞を受けとるからだが。彼は応募すらしていないのだった。今年は若い小娘が…重言!…受賞して。彼の気分はさらに重いものになった。まだ作品を書き上げてすらいないのに。暗い顔で彼はこうタイプした。「暗い嵐の夜だった…
 
愛憎はコインの裏表…という考えが私は好きではない。だが彼との関係は?……彼とは会ったこともない。出来るだけ遠くに、いるようにしているから。地球の反対側にいる、もう一人の私の存在の確実さ。出会ったら最後。対消滅して、身の破滅なのも分かっている。
 
ビルの谷間に風鈴売りがきていた。風がまい透明な響きと共によろけたが、風鈴売りは倒れなかった。弾丸のように駆ける自転車もいたが、ぶつからなかった。倒れそうで倒れない天秤棒は、まるでヤジロベエ。ここで恐竜の足が、ドスンってしも、風鈴売りは平気な気がした。