猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話

「図書館に行く」と言ったら、母が泣きだした。泣きながらサンドイッチを作り、泣きながらポットに紅茶を入れ、泣きながら父の形見だという短剣を手渡し、泣きながらこんな忠告をくれた。「靴は丈夫なものが良いけど、新しいのは靴ずれがするから、慣れるまではロウを使うんだよ」

先生が言った。本を読め、と。
本には時間が詰まっている。この本には三年に及ぶ情熱が、この本には十年の鬱積が、筆者の心血が、ぎゅっと濃縮されて、詰まってる。缶詰のごとく。それでこの定価。安い。フリーズドライのような本もある。これもまた味わい深く、またお得。
 
強い日差しに汗をかき、手の平がベタベタしてきた。公園の緑をくぐり、水飲み場に向かうと。野良犬たちが輪をなしていた。器用に前足を使い水を飲んでいる。なんだか苛々してきた。一歩前に進むと、シベリアンハスキーに注意された。
「順番は守ろう」
 
彼女は僕をロボットのように思っている。燃料を入れて、間違った入力をしなければ。黙っていても、こつこつ、ルーチン作業をこなす。だいたい合ってる。僕についての取扱書はそれほど厚くはないのだ。
 
小さな探偵は言った。「犯人は貴方だ。ケーキに残る歯型が何よりの証拠!」指さされたワニは大口を開けて、ぱくり。そのホールケーキを食べた。もぐもぐ。小さな探偵は肩をすくめた。「すべてお見通し、ケーキには小さな助手を潜ませていました、これから針で突きますよ」
 
夏、この村では棘々竜の幼竜を放流する。幼竜は海に出て大きくなると、7年後に帰ってくる。村の勇者たちが勇者の槍で迎え撃つ。複数の竜が帰ってくる事もあって、村はかなりスリリングなことになるが。まだ負けたことはない。
 
設定が好きの少年が話を続けている。彼によると天上には世界を統べる魔王がいて玉座でコーラを飲みながらゲームをしてる。その上には大魔王がいる。大魔王には思ったことを何でも本当にする力がある。大魔王の上には超魔王がいて、さらに大きい。大魔王の想像さえ超えているのだ。
 
先生がスランプに陥った。今回はカニ缶を要求している。カニ缶を腹いっぱい食べれば霊感が下りてくるそうだ。へぇ、と思いつつカニ缶を調達、仕事部屋に山積みにした。次々に缶詰をあけ、貪り食う先生は餓鬼のよう。むくむくと湧き上がってくる殺意を元手に、私も小説を構想中。
 
エアコンをつけっぱなしてた朝、南極探検の夢から目覚めると。
寝台の下で獏が、くしゃみをしていた。
「フィ、クッション」