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猛烈な勢いでメモ ダッシュ

短い話とか 俳句とか

こんな話かいた

   
文選工は寡黙だった。ただ黙々と活字を拾う日々。ある日、若い娘が事務員に雇われ、文選工は恋をした。娘の顔がちらついて、間違った文字を拾う。
工場の裏、枇杷の木の下で。文選工は娘に胸の内をうちあけた。娘、困惑。文選工の活字拾いは、さらにスピードダウン。
文選工は思う。このままでは、ぼくは文選工として失格だ。文選工でないぼくって、どんなぼくだろう。アイディティティの危機だ。文選工は娘に相談した。君の存在が、文選工としとのぼくを脅かす。同情した娘は、旅にでた。
娘がいなくなって、文選工はしばしの平安を取り戻す。活字が次々に収まり手にした箱はずしりと重くなる。労働の成果。また雨の季節がきて、晴れ上がり、琵琶の実が黄色く色づいた頃。文選工も旅に出た。娘の夢をみはじめたからだ。
文選工は娘との再会をはたす。文選工は娘に言う。ぼくの夢の中に君が現れて困っているのだが、なんとかならないものだろうか。娘はまた同情して、その夜のうちに文選工の夢に忍びこむ。そして過度に美化された自分と出会い、彼女の手をとり外へと連れ出す。
目を覚ました文選工は枕元に娘の書き置きを見つける。「相談の件は解決したと思うよ、じゃ、元気で、