猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

土魔法師の四季

春。雪が溶け始める頃。旅の土魔法師は農村に現れ、土を耕す仕事を請け負う。百歩四方の畑の土を掘り起こし、火炎のスクロールを使い焼く。土が乾いたビスケットのようになれば作業終了。土魔法師は銀貨一枚と感謝の言葉を受け取る。

夏。旅の土魔法師たちは王都のギルドに集まる。道や橋や城壁の補修。壁に張り出される依頼書は多い。支払いは間違いないのだが、鑑定師監督官は口うるさく、サインすべき書類も多い。実際の仕事より、守秘義務を課す魔道契約に使う魔力の方が多いほどで。飲む麦酒の量も増える。
 
秋。狩りの季節である。旅の土魔法師たちは地方に散り、地元の狩人たちと山に入る。土魔法師は指さされた場所に穴を穿ち、狩人が罠を完成させる。罠は十二ほど用意される。穴ひとつにつき銅貨三百が相場だが。現金が用意されいる事は少なく、狩場の見回りに付き合い、狩りで得られた現物を渡される事が多い。

冬。収穫祭の市場で物品を交換し、土魔法師たちは身軽になる。妻子のある者は我が家へ、独り身の者は故郷へと帰る。火炎のスクロールは買い忘れるなよ、と挨拶して。