猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

砂漠で渇いていると。天使が飛んできて、冷えた瓜の一切れを口に入れてくれた。もぐもぐしながら思い出した。嘘つきの舌を引っこ抜く係に、私はなりたかった。やっとこで、ぐいっと。抜いた舌を壺にいれて、泣てる嘘つきの口に飴玉を入れる。そして言うのだ。「はい次の人」
 
ドアの前で蝉が倒れていたので介抱してやった。砂糖水を飲んで一服。蝉は頭を下げた。「助かりました、ぜひお礼をしたいのですが、私には切要な使命があるです、ままならぬかもしれません」蝉は飛び立った。 切要な使命って、交尾のことだと思う。
 
夜、裏庭でビールを飲んでいると。金木犀の下からタメ息が聞こえた。尋ねると最近、死にましてとのこと。「生前より顔色は悪かったのですが、ゾンビと間違われて撃たれるとは思いませんでした」それは災難でしたね、と言うと。またタメ息。イヤになっちゃうな。誰が埋めたんだろ。

ぼくはよく眠りよく夢をみる。眠りが浅いと、夢も遠浅の海だ。そこにバクもくる。先日は押し寄せてきたバクが、水平線まで埋め尽くした。あたり一面バクだらけ。バク爆だったよ。

彼らは偽物の時代に生きていた。彼ら自身がそう思っていた。ああ、すべてが嘘くさい。ほら、壁だってペラペラだし。囚人がその気になり体当たすれば、人型の穴があくだろう。昔の壁は違った。激突すれば激突した者が痛い思いをした。頭から行けば頭が割れた。本物の壁だった!
 
浜辺で。剛の者達が西瓜割りに挑戦していた。振り下ろされた棒を、西瓜は白刃取り。間をおかず挑戦者は砂の上に叩きつけられた。うぎっ。また失敗。 西瓜は勝ち誇るでもなく砂の上に腰を下ろす。観客のどよめき。おおお。手練れである。

曲がり角で激突して転倒した。「何を急いでいるのですか」見ると彼には顔がなかった。「お気をつけて。 生に向かって疾走いるつもりが逆方向だった、ということもありますからね」「煩い。俺は生まれたばかりの、ただの出っ張りだ」そう答えたのは私の頭にできたタンコブだった。
 
「可哀想な子」と言われて育った。ありがとうございます、こんな小さな私のことまで思って下さって。そう私は答えるようになった。たまに青空を見上げ、可哀想な空と言ってみる。実のところ、私は未だに分かっていないのだ。自分のどのへんが可哀想なのか。