2014-01-01から1年間の記事一覧
月を見ながらお酒を飲んでいたら、丸い者が部屋によじ登ってきて言った。「おっと、驚かないで、不審な者ではありません、私は月です」僕は丸い者を見て、空を見て、また丸い者を見た。「ああ、あれ、あれは影武者です」と丸い者はいい、テーブルのお酒をご…
名言を思いついたので、ここに記しておきたい。忘れないように。いわく、 若人は夏を数え、老人は春を数える ツイッター方面では少しだけウケた。いつかお話の中で使うつもり。><
「図書館に行く」と言ったら、母が泣きだした。泣きながらサンドイッチを作り、泣きながらポットに紅茶を入れ、泣きながら父の形見だという短剣を手渡し、泣きながらこんな忠告をくれた。「靴は丈夫なものが良いけど、新しいのは靴ずれがするから、慣れるま…
七夕の夜。プラネタリウムで、彼女と待ち合わせをした。彼女はこなかった。べつに平気。ひとりでも星は見れる。しかし毎年、この日は雨が降る。 病弱な私に、姉は植木鉢を持ってきた。鉢植えの世話は面倒だが、姉はときどき来るので捨てることも出来ず、水や…
夏。とおり雨のあと。小さな水たまりの上に、小さな雲がおきることがある。小さな雲は小さな渦を巻き、小さな嵐になる。愛好家たちは網で嵐を捕まえると、専用のコップの中に入れる。コップの中の嵐は、この地方の風物詩だ。 私は彼女が嫌い。嫌い、嫌い、嫌…
この季節になると人は高台に移る。地下からゾンビが沸いてでるからだ。街はゾンビでいっぱいになる。が。それもひとときのこと。長雨が、ゾンビを溶かし海に流す。そうしたら、また人は街にもどる。排水口の掃除をするためだ。 そいつは言った。 「雨が降る…
青空の下。鯉のぼりがたなびいていた。風もないのに。……それで亡霊なのだと分かった。凪いだ空に優雅な泳ぎを見上げるのは楽しかった。けれど少し疑問。なぜ鯉はポールの先にとどまるのか。もっと遠く泳ぎ回ってくれてもいいのに。たとえば公団住宅の給水塔…
三角に小さく切った初西瓜 今年はじめての西瓜を買ってきた。まるまる一個じゃなくて、切り分けられたパック入りのやつを。少しお高い買い物でもあったので、包丁でさらに小さく切って食べたぜ!……という句である。
葉桜や静かに溶ける路地の裏 華やかに咲いていたときには、あそこにも、ここにも、と思っていた桜も。散ってしまえば、だんだんと目立たなくなり、見慣れた町なみの一部として意識からは遠ざかっていくようで、この淡い緑の印象が最後かな、と思った。……とい…
ラッコはお気に入りの石で貝を割り脇に挟んで眠る。大切な石なのだ。とある月夜。海藻を体に巻いて波間に漂うラッコを人魚が見つけ、その石をそっと取り上げた。ラッコの眉間に皺がよる。鼻先に悪夢を突きつけられたかのように。人魚が石を戻すと、ラッコは…
窓のない部屋で、我らは小声で話す。選ばれた者の報告だ。規則は12。口を開くまで私自身も知らなかった(!)秘密を暴露すると……軽くなる。仕切りの外には体重計が置いてあって、背の高いひとが手帳に記す。大切なことなのだ。天井は高いが。背中に翼がはえ…
葉桜や木陰は寒し握り飯 葉桜の下のベンチでお握りを食べた。春とはいえ、木陰は寒かった。まだ日向の方が恋しいね。……って句である。 ><
ロボットも…… Zzz ……の目借時
地球上で最大の脊椎動物は大王イカである。
主人公は、とある人間嫌いの小説家。屋敷では猫を飼っている。たまに編集者が訪れ、原稿の話しをするが。天気の話しだけで帰る、ってことが続いている。 ある日。編集者が小説家を尋ねるとお茶のついでに、一冊の本を見せられる。自費出版されたものらしく、…
わりと知られていないことですが、王様は美形でした。憂いを帯びた瞳、さらりと波うつ髪。その体は大理石の彫刻さながらでした。ですから。「王様は裸だ」という言葉は家臣全員またファン一同にとって、夢の終わりを告げる鐘のようにも響いたのでありました。…
愛してる嘘ぴょ〜んの四月馬鹿 うろ覚えだんだん小さく花のうた お花見や白いマスクに黒い傘 春爛漫響くは幼きオノマトペ
波打ち際に向かって歩いていたら、足もとを黒いものが横切った。カイトの影だった。びっくりした。……って句である。「凧」は春の季語!
気がつけば星も静かな春こたつ
生姜湯や両の手にもあったかい
松あけて割り箸で食うパンケーキ
ビンに入れておいた生姜飴が、ふにゃ〜となってた ぜんぶ溶けて 一体化しているように見えたけど 一個づつ ばらけていたので セーフだ
日向ぼこ葬儀のセールスやってきた