猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を考えた 「プレゼント」

プレゼント
 
キャラメルコーヒーを飲んでから、ぼくらはホテルのロビーに座り豪華なツリーを見上げていた。ぶっちゃけ貧乏だけど、イブの夜に好きな娘と肩を並べていられるのだから、それだけでもハッピーなことだと考えていた。と。エレベーターの方から、ヒールの音も高く一人の女が歩いてきた。よく分からないけど拳を握り、断固たる歩み。あとから、男が追いかけてきた。彼らは二言、みこと言い争ったのち、そのまま出ていった。ぼくらは顔を見合わせ、見なかったことにしておく事に決めた。
しばらくして男が戻ってきた。ネクタイをゆるめ、ロビーを見回し、それから深いため息をついた。うなだれた彼となぜか目があってしまった。彼は手をつないでいたぼくらを見て、それから咳払いをし、真っすぐにぼくらの方に歩いてきた。
「君たちアベック?」
ぼくらは、曖昧な返事をした。なんだか、かかわりになりたくはない雰囲気だったし。すると、彼はまた咳払いをして、言った。
「突然だけど、予約していた部屋があいてしまってね。一人では泊まる気になれないし、良かったらだけど、使ってくれない。808号室、8月にぼくがおさえた、ぼくがいうのなんだけど素晴らしい夜景だよ、でも、もうぼくには必要ないんだ」
ぼくらはかなり迷ったのち、彼の差し出したキーを受けとった。
「チェックアウトは10時、清算はすませてあるから、このキーをフロントにかえすだけの簡単なお仕事?かな」そう言って、男は笑った。スナフキンのように立ち去ろうとする彼を、ぼくらは呼びとめた。
「メリークリスマス」
 
※ハイクのページに投稿したもの。少しだけウケた気がする。うれしい。