猛烈な勢いでメモ ダッシュ

推敲してます。漫画とか。俳句とか。

こんな話を書いた

ワン、ワン、ワン。
飼い犬のジョンが家出した。占ってもらおうと町へ出かけたら、繁華街の外れにジョンはいて。占い師をしていた。では手を見せて下さい、とジョンはいった。手を出すとペロリと舐めた。
「お酒は控えるのが吉。塩分のとりすぎにも注意しましょう」
 
人形めいた探偵は歩き回り、犯人の像を追い求めた。まるで恋する者のように。糸が結ばれる。糸をたぐっていけば、犯人のいる場所にたどりつく。あとは警察と助手の仕事。助手はポケットからハサミを取り出す。糸をチョキンと切ると。探偵も倒れた。
 
去年。南瓜ランタンを手にしたぼくらは、街のはずれの屋敷を訪れた。叫ぶとマントを羽織った少年が出てきた。彼が指を鳴らすと薔薇の花束が出てきて、一輪づつを受け取った。甘い芳香に目眩がした。気づくとぼくがマントを羽織っており、子供たちを見送っていた。訳も分からず泣いたけど、今夜だ。今夜のために、ずっとトリックの練習してきた。

朝食は紅茶とショートケーキだった。昨夜、ランタンを手にしたお客さんが四人来て、誰もケーキに手をつけなかったからだが。まだ冷蔵庫に残ってるケーキが、何か変な感じ。考えてみるに。これって、子供のころ思い描いてた朝食ではないか。夢は実現したのにあまり幸せではない。でも、もぐもぐ。

習字はきらいだ。やり直しができないから。筆を下ろした瞬間に「あ」ってなることもあるし。でも書道教室の子供から、よいことを教えてもらった。まず指で書くのだ。半紙の上で大きく。次に爪で書く。あとは半紙にのこった爪の跡をなぞるように、ゆっくりと筆をはこぶのみ。ふふふ。
 
 

こんな話を書いた

獏のお腹はパンパンだった。少女の夢は食べても食べても、生えてきた。赤い夢。青い夢。黒い夢。きりがなかった。ついに破裂する時がきた。乾いた音。白煙、もくもく。煙は王子の姿となり、少女を空へと連れ去った。獏はといえば、破裂した勢いで世界一周。
 
 
冬の朝。
メイドさんが手を滑らせ、古い壺を落として割った。斜めに差し込む光の中に散らばった破片を、主人は呆然と見下ろした。壺の中の桃源郷で迷ったことを、思い出していたのだった。しばらくして彼はメイドさんに笑った。今朝が壊れる時だったのだろう。
 
 
鏡は自惚れが強く、一番きれいなのは自分だと思っていたから。女王の問いかけは苦痛だった。けれど叩き壊されては叶わないし、彼女が喜ぶような答えをしていた。
「はい。世界で一番、美しいのは貴方さまです」
女王が部屋から立ち去ったのち、鏡はいつもこう付け加えていた。
「私をのぞけば」
 
 
ひとつだけ願いを叶えよう、って悪魔は言った。では私を愛してくれ。と私は答えた。困惑した悪魔の表情が愉快だったが。それも彼女の目が丸くなり、顔が三角に変化するまでだった。もしかして蟷螂がカマを持ち上げるのも愛ゆえ?
 
 
「いい歯並びのワニさん、これが証拠です」
小さな探偵は歯型のついたホールケーキを指差した。追いつめられた、いい歯並びのワニは大口を開けると、ケーキをぱくり。小さな探偵は言った。
「すべてお見通しだ。ケーキには小さな助手を潜ませておきました。助手には針を持たせています」
 
 
 

こんな話を書いた

犬の王様に呼び出され、料理をすることになった。王様の尻尾は垂れている。はい、と手渡されたのは一本のスコップと長靴だった。曇り空の下。王様の料理は、庭に埋められた骨を掘り出すところから始まる。
 
 
恋文を書いたら怒られた。言葉じゃなく行動で示せよ、私と付き合いたいと思うならな、と。恋文は誰かとつき合いたいという用事があって書かれ、その用事が済んだら不要になる。良い恋文を書こうと工夫をこらし、恋文のための恋文に邁進するなどは倒錯である。そんな内容の長い返事を受け取って、いい人だな、と思った。
 
 
文学と薔薇の育て方は似ている。どちらの話も彼女の耳に可なのだ。恋の話だけは不可である。好きとか嫌いとか、綺麗だとか愛しているとか、間違っても言ってはいけない。そわそわした彼女が部屋を出て行ってしまうから。文学か薔薇、あるいは竜の卵を使ったオムレツに命をかけた騎士の話でも良い。
 
  
枯井戸に叫んだ。「みんな死ねばいいのにぃぃぃぃぃ」
返事があった。「声が小さい」
井戸の奥を覗くと、石積みの向こうに暗闇だった。きっと、なにかの霊なのだろう。私の声は小さい。幽霊くらい。がっくり。星々の深さを見上げた。
 
 

こんな句をよんだ

朝。電信柱のそばで、立ち話をしていたら、鴉が鳴いた。そうしたら「嫌な声」って近所の方が言ったのだった。まるでホラー映画、不吉な屋敷を前にしたシーンの台詞のようで。おお、って思った。

嫌な声と言われてしまう冬鴉
 
小山の上の公園に行った。駐車所に立派なトイレがあって、その隣に柿の木があって、熟した実がアスファルトの上に落ちていていた。なんとなく渋柿だな、って思った。

渋柿の上でないてた鴉かな
 
ぷんぷんすることがあって、洋梨をいっこ皮も剥かずに食べた。うまかった。

腹たてて一口ぺろりラ・フランス
 
台風が通り過ぎた朝。早起きしたら、木の枝や葉っぱやその他いろいろなゴミが、家の角のところで重なっていた。ここで風がまいてのだろうな、って思った。袋につめて腰が痛くなった。

夜あけて野分集めし木の葉っぱ

秋の宵。蚊の羽音をした。今年は暑すぎたせいか、蚊も少なかったかな、って少しだけ淋しいような気もした。でも、かまれるのは、やっぱイヤだった。

秋の蚊や感傷ぱちんと手を叩く
 
朝ごはんを食べていたら、花火の音がした。どこかで行われる運動会か、安売りのお知らせだと思うのだが。なんだろうなあ、ってしばらく考えた。

青空に幽霊浮かべ昼花火 
 
 
 
 
   

今年のハロウィン

今年はやはり、渋谷で軽トラックをひっくり返した人たちの話が印象深かった。きっと、はしゃぎすぎて急に軽トラックをひっくり返したい気分になったのだろう。
乱暴な出来事だろうし、私は近づくまいって思ったけれど。テレビの人のコメントも趣ぶかった。乱暴はダメです、というのは、もっともな意見だけど。軽トラックをひっくり返した人たちを粗野な田舎者と呼び、本来のハロウィンは収穫際なんです!もっとお洒落なものなんです、と仰っておられた。
本来のハロウィンといえば。去年だったか、大人がはしゃぎ過ぎですね、本来のハロウィンは子供達のものでしょう?と、やはりコメントしてた芸能人の方がおられた。へえ、って思った。
個人的には。「軽トラひっくり返し」という妖怪が跋扈した結果ではないか、と想像する方が好みなのだけど。その考えでいけば、妖怪「本来の」がいていいのかな、って気もした。
 
それでまた思い出したけど。一昨年だったか、ラジオを聞いていたら。地元の大学生の方が放送しておられて、ハロウィンですね、一緒に騒ぎましょう、ハロウィンって何のなのか、実は知らないんですけど、てへぺろ、とか言ってて。自分から言及するなら、そこはググれよ、とか思ったのだった。
でも今年は少し考えを改めた。ハロウィンが何のお祭りなのか、私もよく知らない。乱暴な定義なら、しなくても良い、っていうか。そんな感じ。

 
 
メモ
Twitterで読んだのだが。彼女のいない人のコスプレをして街を歩きます、って呟きが面白かった。あと、こんな漫画を考えた。……火事が起きたビルから、黒いブーツの女王さまや、黒いマスクを被った首切り役人みたいな人たちが飛び出してくる。ビルにはSMクラブの看板。通りには仮装をし人達が沢山いて。女王さまが挨拶をする。Happy Halloween
 
 
  
  

更新しとこう

ブログを見たら、少し大き目の広告が表示されてて
「この広告は、90日以上更新していないブログに表示しています。」
って書いてあった。90日かあ。三ヶ月だな、と思った。
  
 
 
 

アロエのミニ盆栽

アロエミニ盆栽

 
アロエミニ盆栽

 
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アロエの茎?を、さっさと木質化させちゃうコツのようなもの。

 
 
 
撮影に使ったもの。
iPadダイソーのラッピング・コーナーで買ってきた和紙。アルミシート。トレース台
ダイソーは便利だな。背景に置いた和紙とか。簡易レフ版にも使えるアルミシートとか。100円で買えたし。
トレース台は大昔に買ったきり、殆ど使ったことなかったけど。利用できて良かった。
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こんな話を書いた

桜は巨大な菌類である
 
猫と私は同じ空間を共にすることは出来ない。猫が私を退けるか、私が猫を排除するか。二つに一つである。夜になると我が家の庭を横切っていく野良猫の話だ。なぜ猫は落し物をしていくのだろう。毎日のようにそれを拾っていると。そんな考えに憑かれるのだった。猫と私は花壇というひとつの場所をめぐって闘争している。ふかふかの乾いた黒土が好きなのだ。
私が猫への悪態を述べると、決まってこう言う人がいる。……なんで。猫、可愛いじゃん。おしっこもウンコも肥料になると思えば……私は長椅子に横になる。腹をたてないように。深呼吸が必要だ。花を植えよう、と考える。棘のある花がいい。 
肥料にしたかったら、それなりの手間をかけねばならない。風通しの良い場所で良い微生物の力をかり、時間をおき熟成させるとか、いろいろ。直の落し物は植物の根をいためつけ枯らす。当たり前ではないか。当たり前ではないのか。
 
そういえば。高貴な芳香で旅人を誘き寄せては眠らせ、横たわった旅人の体から直接に養分を吸い取り咲く花の話を読んだ。猫の落し物もだが旅人の屍体もまた植物の根をいためるだろう。屍体の分解にも分業があって、まず鳥がきて、狼がきて、小さな虫がやってきて、という順序があると思うのだ。木の根元に旅人の遺体を埋めても、たぶんその木は枯れるだろう。ああ。植物ではなくて菌類なのかも。あるいは腐敗の速度に負けないくらい過剰な養分に適応した独特な生体圏の広がり。そういうものなのかも。桜の季節になったら、より詳しく話したい。来年の四月一日に。
 
 
 
 

「物理的に無理」

物理的に無理
 
また突然、思い出したのだが。もう、ずいぶん前。「げんしけん」を見ていたら。
波戸くんと付き合っているの?と問われて。班目さんがこう言うのだった。
「ない、ない、物理的に無理だし」
この言葉の意味は波戸くんが女装している男なので、恋愛の対象にはならないし、合体もできないよね……「物理的に」……ってことなのだった。そこでBLユーザーでもある波戸くんは思うのだった。……「物理的に」ですか。まあ、そうですね。ふつうは……
この「物理的に」について。……「わたし、気になります!」……なのだった。
 
また別の日に。テレビで将棋を観戦していたら、こんな解説があった。
……おお、なるほど相手の打ちたい場所に駒を置いて、物理的に相手が駒をうつスペースをなくすのですね……
将棋の盤上の話に「物理的に」が出てきて。もやもや。同じマス目の同じ場所に二つの駒を同時に置くことはできない、っていうけど。駒の上に駒を置けば、いいんじゃないだろうか。……物理的に可能でしょう?……と私は考える。駒の上に別の駒を置くことは出来ない。ひとつのマス目には、ひとつの駒だけしか配置できない、というのはただ将棋のルールが決めている事な気がして。「物理」が出てくる幕はない気がしたのだ。
「存在、甲と乙は同じ空間を占める事は出来ない」って話なのかもしれない。それならいっそ……「哲学的に」……とでも言ってもらった方が個人的にはしっくりくる。
けれど。「物理的に」を「哲学的に」に置き換えると、またちょっと違う気も。「物理的に」が暗に示していたのは……見れば一目瞭然、実際的にですな……ってな事だった気もするし。それを「哲学的」に言い換えたら、衒学的な?雲がもくもくして、反対な感じがしてくるのだ。たとえば。
……波戸くんと付き合うのは「哲学的」に無理……とか。
……同じマス目に二つの駒を同時に置けないのは、「哲学的」な要請である……とか。
 
 
 「誰もそんなこと言ってないわよ!
  ロマンチックでプラグマチックだって言ったの!
  プラグマチックっていうのは実際的って意味ですけどね!
  念のため!」 by結城明日奈